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  • 執筆者の写真しのづか裕子

花笑 第28回横浜華道協会 新進作家展 報告


もう2週間以上が経ってしまいましたが、7月29,30日に第28回横浜華道協会 新進作家展 花笑 の第三次の展示に参加させて頂きました。

草月流師範遠藤桜泉先生がお声がけ下さいまして、恐れ多くも花を活けさせていただきました。

この展覧会は横浜華道協会に所属される理事の先生方のお弟子筋の方々の展示ということで、あまりかしこまらない自由な空間を展開できるということでした。自作の花器を使わせて頂けるとのことでしたので、お受けさせていただきました。

とても華道に関しては自信もないので、全て先生にお任せしてご指導いただきました。

練習の時に花器をご覧頂き、これはやはり花器を生かす方向で展開しようということになりました。

先生は添え花という考え方を表現したい、という強いイメージをお持ちになり、この場合花器が大型なので、枝物が必須とのご指示を頂きました。

実家に生えていた剪定しなければならなかった月桂樹を使って、家で少し練習をしようと切ってきたのですが、思いのほか立派だったので、先生にお聞きしたらそれで行こうということになりました。

茶色の強い花器を生かすにはあまり色味は多くないほうがいいという印象で一致したので、花ではなく枝物と葉物の緑一色で行こうということになりました。

花材は月桂樹、ドラセナ、ドラセナホワイトジュエル、これは白のふが入る華やかな葉物です。

横長の形に対して花材は片方に集め、水面を大きくのぞかせることによって奥行きと水面の奥の陶器の形を想像させるという効果を狙い、亜熱帯を感じさせる花材が映り込む水面と、花器の水飛沫のような装飾が相まって、湿度を感じるとても ある意味自然でありながら都会的なデザインに仕上がりました。

我ながら、というより改めて先生の感性の鋭さを感じさせられました。

大変な人出で、たった2日間でしたが7000人も動員した由、私も試しに会場にいて観察しておりましたが、本当にいろいろな方がまじまじと見て下さり、たくさんのご感想ご意見を頂きました。こんなに多くの方々に作品を見ていただき、またお褒め頂いたことはかつてありません。

面白いくらい花器がいいと言っていただき、まあ花材はさておき、といったことでしたでしょうか。

でも遠藤先生がおっしゃるにはそれはいかに花器を効果的に演出するかを狙った構成だったので、目論見通りなんだそうで。恐れ入りました。

一日目の途中、花器の向きを少し強くしたほうがいいとの先生の先輩筋の方のご指摘をいただき、二日目朝に5センチほど角度を付けました。遠藤先生はお仕事でいらっしゃれなかったので、草月の他の先生が見て下さいました。

不思議なことに一日目と印象もお客さんの反応も変わったように感じました。

おしまいに遠藤先生がいらっしゃったので、感想をお伝えしましたら、まさにその通りだったと同意され、解説して下さいました。

もともと添え花を表現していたものが 生け花に変化したことによって、結果作品から受けるインパクトが減って、綺麗にまとまった表現になったということでした。

角度を変えたことも強さが減り単調な印象を与えることになったということでした。もともとの角度は人が横から移動してくる過程で 見え方が変化していくのを楽しませる目的を狙っていたのが、強い印象を与える角度しか見せられない構成になってしまった、ということでした。

なるほど、作品を作り展示をすることには慣れているのに、いかにそこに目を集めるか、効果的に演出するかといったことにはあまり気を使っていなかったことに気付き、たかが数センチでガラッと印象まで変わってくること、たった植物が入ったことで現れてくる初めて見るような花器の色っぽさも感動的で、しみじみ勉強になりました。

そして花器は固体の塊感が強いのに対し、花材が入ると途端に空間を占める体積が増えるのでより強い世界観を演出できるということを感じました。

恐れ多い、他流試合に出ている気分で参加させて頂きましたが、それでこそ見えてくる違う側面や違う気付きにとても新鮮な時間を経験することができました。


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